第1部第1章

ということでロリータ熱に罹っている。

ペンギンブックスのペーパーバック版はなんとも恥ずかしい表紙である。
新潮社の単行本版と文庫版の表紙のいずれも頂けないが。
表紙はやはり、バルチュスでしょう。

 She was Lo,plain Lo,in the morning,standing four feet ten in one sock. She was Lola in slacks.

さて、靴下をかたっぽだけ履いた姿はLoで、スラックスを履いた姿はLolaなのだ。
ん?
いや、アルファベットのカタチを見ると、なるほど、Loは片足で、Lolaは両足に見えるでしょう。
2つのエルにくっついたoとaがなんとも愛らしいくるぶしにも見えるし、いもむしのような指にも見えてくる。


おっもしれー!
足の指をくるぶしをも愛おしむハンバート・ハンバートなのだ。

さっき風呂で若島正の『ロリータ、ロリータ、ロリータ』のなかの、冒頭の"lite of my life"についての分析を読んだのだが、通常、この表現は、我が命を導く光、すなわち宗教的な意味合いを読んでしまいがちだが、読み進んでいくと、他の箇所では、ハンバート・ハンバートは、ほぼペニスを意味する言葉として、"life"と言う言葉を使っている。
なるほど、"life"というカタチを見直してみると、lifはペニスのその時々に応じたスガタカタチで、eは睾丸に見える、のは俺だけか?


俺だけだろうか?
女性を好きになると、決まってその名前を何度も紙に書き付け、まるでそこに彼女がいるかのように、彼女を構成する文字をうっとりと眺めてしまうのは。
ハンバート・ハンバートはこの告白録を書き始めるに当たり、やはり先ず最初に、愛する少女の名前を、書きつけ、告白録にふさわしく格調高い言辞で始めようとするのだが、自分の書き付けた文字を読んで、たまらずすぐにそれが、文字が彼女そのものであるかのように舌でころがしてしまう。まったく冷静でいられないのだ。