[NIKKI]東京日記その1

空港行きの始発バスに乗り出発。

旅のお供は、『すべての美しい馬』。長らく積読状態だったもの。
実は単行本を失くしたので、文庫本で買いなおしたのだった。
寝床で断続的に読んでいるので、ぜんぜん進まない。
メキシコの荒野でいったい何度目の夜を過ごしたのだろう。
とおくのほうで狼の遠吠えが3度聞こえ、翌日プレヴィンスが酔っ払って馬から落ちたところあたりである。
考えてみれば、ここのところ、馬で荒野だの峻険な雪山だの死屍累々の平原など、野宿を繰り返すお話ばかり読んでいる。
古本屋で買ったベルセルクにせよ、『軍犬と世界の痛み』もそうだし、『ストームブリンガー』もそう。
たぶん、どこかへ飛び出していってしまいたいのだろう。


高田馬場でJRを降り、まずはタバコの買出し。
愛煙しているポールモール赤は、東京で見つけるのが大変なのである。
1カートン確保し、遅い朝食をとった後、早稲田大学の国際会議場へ。
国際高等教育フォーラムなるものに出席するため。


日本の高等教育は人口減少期で大学全入時代で大学進学率50%でユニバーサル期なのである。
ここ数年で、つぶれる大学がたくさん出るだろうといわれている。
いっぽう、アジアは若者があふれかえっており、中国なんて順調に大学進学率が上がれば、受け入れる大学数が追いつかないといわれている。
対馬の岸壁でサビキ釣りするようなものである。アジコがわんさか釣れるのである。
なんで、日本の中小の大学は手をこまねいているのだろう。
一年中、日本じゅう津々浦々探すより、入れ食いの釣堀に年に4回ほど釣り糸をたれるだけでいいのに。
とゆーわけで、誰に頼まれたわけでもなくわが身可愛さのため、手始めにマクロな政策レベルの市場調査をかねて、出席した次第である。


国際会議など初めてだったこともあり、大いに刺激になったが、なにしろ議論の中心がいわゆるリサーチ・ユニヴァーシティをベースにしているので、こちらとしては隔靴掻痒の感があった。
フロアから、「高等教育のグローバル化といったって、日本の大手大学は本気で考えてるの?きちんとした入試を経ないで入ってくるんだぜ。いいの、ほんとにいいの?」という意見があったが、早稲田の世界征服戦略は微動だにせず、といったところだろうか。


それにしても、ふだんの10倍ぐらい歩いている。
東京は暑い。
汗だくである。
タバコ税値上げのニュースが気になる。